歯ぎしりによる二次障害のなかでも、最近増えているのが「顎(がく)関節症」です。
この病気は、口を開けようとするとあごの関節がカクンカクンとなって痛みがあったり、あごの筋肉がこわばったりして、口が開けにくくなるものです。
悪化すると、ほんの少し口を開けても痛みがあって、食事ができなくなることもあります。
顎関節症の予備軍は多いのですが、ほとんどの人は自覚していません。
一つの目安として、指3本(人さし指、中指、薬指)をそろえ、縦にして口に入れてみてください。入らない場合や、痛みで口を開けにくい場合には、要注意です。
顎関節症の原因には、歯ぎしりや片噛み(食事のときに左右いずれかの歯ばかりで噛
む)、噛み合わせの悪さ、あごの骨の弱さなどがあります。中でも一番の原因が歯ぎしりですが、とくに影響が大きいのは歯の噛みしめ(クレンチング)です。
通常、私たちの上下の歯は、リラックスしているときにはほとんどくっついていません。ところが緊張すると、上下の歯を無意識にくっつけ、噛みしめることがあります。
では、今このコラムを読んでいるあなたの歯は、どうでしょうか。
実は、パソコンや打ち合わせなどの軽作業でも、緊張から少し歯を噛みしめていることが多いのです。
睡眠中の強い噛みしめだけでなく、軽い噛みしめも長時間になるとあごに大きな負担がかかります。パソコンやゲームなどの普及も、顎関節症が増えている一因と考えられています。
昼間でも歯の噛みしめに気付いたら、意識的に軽く口を開けるなどして、あごの緊張をゆるめるようにしましょう。