虫歯や歯槽膿漏のほか、大けがをした、そのためにあごの位置が狂い、咬合が不正になった・・・
・・・これは交通事故などでよくあることです。
が、ふつうに見られる咬合不正の原因はそんな大げさなものではなく、かつ、痛みをともなうものでもなく、そうか、こんなことが原因になってしまうのか、と驚かれるようなことばかりです。だから怖い、ともいえましょう。
原因 ? 抜けた歯の放置
下の歯が一本抜けました。これを放っておくと、咬み合う相手の無くなった上の歯は下へぐんぐんせり出してきます。
と同時に、無くなった歯が支えを失って両方から移動し、倒れかかってきます。
その結果、上下の歯の当り方(噛み合い方)が大きく変わってしまいます。
当り方が変になったまま、さらに放置すれば、すき間に食片がはさまりやすくなるばかりか、歯がゆらいでくること必至です。
こうなると、人はますます無理なカタチで咬み合わせを行なうようになり、それが悪循環のもとになります。
(この理屈は上の歯を失った場合でも同じことです。いずれにせよ、咬み合う相手の無くなった歯は問題の歯です。)
歯ならびの問題
正常な歯ならびのよい状態にあれば、咬合時の圧力(歯にかかる力)は均等に分散され、相殺されて、均衡が保たれます。
しかし、歯ならびが不揃いで、たまたま痛んだり、ゆらいだりしますと、咬む圧力が出っ張った(はみ出した)歯に集中的にかかることになり、周囲から異端児をしめ出すように、ますます外側へ押し出します。
こうなれば当然、咬みにくくなります。それを何とかだましだまし咬んでいると、次第に泥沼にはいり込むことになりますが、これは完全に病的症状です。